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花札2月の札は梅に鶯!この札の意味とは?【これメジロなの?!】

花札2月 梅に鶯

花札2月の札に描かれているのは「梅に鶯(うぐいす)」。

花札には藤にホトトギス松に鶴など鳥が描かれている札がある中で、「梅に鶯」は特によく見る札ではないでしょうか。

もうすぐ春だな~と思わせるこの札。

そもそも、なぜ2月の札に「梅と鶯」が描かれているんでしょうか。

今回も調査したところ、いろんなことがわかったのでシェアさせていただきますね。

また、この鳥が「ウグイス」ではなく「メジロ」だという説もあるんだとか。

シロ

でも「梅に鶯」ってことわざがあるぐらいなのに。
これって本当に「メジロ」なの?

そのあたりも気になったので、ちょっと深堀りしたいと思います。

それではまず、2月の札の意味から見ていきましょう!

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2月の札に「梅に鶯」が描かれた意味とは?

梅に鶯の札

花札はその月に縁のある植物や動物が描かれています。

つまり花札2月の札は、この時期によく見られる「梅」と「ウグイス」を書いたものになります。

でもそれだけが理由じゃありません。

「梅とウグイス」は今よりはるかずっと昔からとてもお似合いな組み合わせとして愛されてきたからという理由もあるんです。

梅とウグイスは昔からお似合いの組み合わせだった!

この梅とウグイスの組み合わせは、もともと奈良時代に中国から伝わったものでした。

きっかけは、遣隋使や遣唐使で日本に伝わった中国文化の中の「漢詩(中国の詩)」。

この漢詩の本(漢詩集)を日本で初めて作ろうとなった時に、 中国の漢詩の「梅花蜜処蔵嬌鶯」 という句から発想を得て

素梅開素靨 嬌鶯弄嬌声
(白梅は白く咲きほころび、かわいいウグイスは美しく艶やかにさえずっている)

という句が作られます。

この句が書かれた漢詩集 「懐風藻(かいふうそう)」が世に広まると、ここに書かれている梅とウグイスという組み合わせがとてもいい!とたちまち貴族達に人気となり、和歌などの題材に好んで使われるようになりました。

シロ

それを示すように「古今和歌集」や「万葉集」には梅とウグイスを題材とした和歌がたくさん詠まれているんですよ。

ここから「梅とウグイス」が定番の組み合わせとなっていきました。

今回の花札が作られた江戸時代でももちろんこの組み合わせは定番で、例えば絵や着物などの構図に使われています。

↓こちらの着物はデザインがめちゃくちゃ斬新で、ウグイスが絵じゃなく漢字です(笑)

シロ

このように昔から、梅とウグイスはお似合いの組み合わせとして人気だったんです。

花札2月の題材にもぴったりだった!

梅にウグイスのイラスト

またこの梅とウグイスの組み合わせは、花札2月の札の題材にうってつけのものでした。

「梅に鶯」は花札では2月の札になりますが、この2月とは旧暦の2月のことで、今の暦でいうと2月下旬から4月上旬ごろ。

梅の見頃は早咲き遅咲きといろいろありますが、だいたい2月上旬から3月中旬頃が見頃と言われています。

つまり、梅はこの旧暦2月頃に見頃となるため花札の題材に梅が描かれたと考えられます。

また、ウグイスも2月初旬頃から「ホーホケキョ」とさえずり始めるので2月の題材に相応しいことから、時期的にも組み合わせもばっちりな「梅とウグイス」が描かれたというわけなんです。

このように梅とウグイスはお似合いの組み合わせなので2月の札に描かれたわけですが、納得した矢先に気になる説を発見しました!

シロ

それはこの鳥は「ウグイス」じゃなくて本当は「メジロ」じゃないのか?という説です。

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「梅に鶯」は「梅にメジロ」だった?!

なぜ梅と描かれている鳥がウグイスではなくメジロだという説が出たのか。

実は、ウグイスは梅の木に止まることはほぼないからなんです。

ウグイスは梅の木より藪の中がお好き

ウグイス

ウグイスはもともと警戒心が強い鳥。

そのため、日の当たる開けた場所よりも日陰の隠れた場所を好むので、低い藪の中など草木の生い茂った場所にいることがほとんど。

また、ウグイスの主食は虫なので花の蜜を吸いに来るということもありません。

つまり、梅の木に寄りつく理由がないため、今回の花札のような「梅の木に止まるウグイス」が見られることはめったにないんです。

こういったところがメジロと間違われた

梅にメジロ
目に白い縁取りがあるから「メジロ」

一方、メジロは梅の木が大好き!

ウグイスと違いメジロは花の蜜や果物が大好きなので、梅の花の蜜を良く吸いに来るんです。

またウグイスと違ってそこまで警戒心は強くないので、人がいる場所でも花の蜜を吸いにやってきます。だから、梅の木にメジロが止まっている姿はよく見られるんです。

さらにウグイスとメジロは見た目もよく似ています。

小さくて丸みを帯びたフォルムや緑っぽい体の色が特に似ています。

だから、梅の花の蜜を吸いにくるメジロをウグイスに見間違えたんじゃないか?という説が出たんです。

でも花札の鳥は「ウグイス」だと思う!その理由は?

ここまでメジロの特徴を見てみると、確かに梅に止まっているのはメジロだと思ってしまいます。

シロ

ただやっぱりこの鳥は「ウグイス」だと思います。

私がそう思う理由を説明していきましょう!

あくまでもこの組み合わせは「デザイン」

花札のデザインは、四季折々のものがいろんな組み合わせで描かれています。

その中には「相性のいい組み合わせのもの」をデザインとして用いることもあります。

例えば、花札1月の「松に鶴」の札

こちらは松と鶴が一緒に描かれていますが、これはこの時期にふさわしくて縁起のいい組み合わせとして、実際には見られない光景を花札のデザインとして描いたものです。

こちらも鶴ではなくコウノトリでは?という説がありました。

今回の「梅に鶯」も時期としてはふさわしい題材ですが、梅にウグイスが止まっている姿はめったに見れないもの。

絵に描くなら、それこそよく目にする「梅にメジロ」でもよかったはず。

でも前述したとおり、梅とウグイスの組み合わせは昔から「お似合いの組み合わせ」として定番でした。

つまり、梅とウグイスどちらも2月に見られるものだし、組み合わせの定番とされていることからデザインされたと考えられます。

そう!「松に鶴」と理屈は同じなんです。

だから事実はどうであれ、デザインで描かれているとなると「梅に鶯」でもなんら問題ないということなんです。

シロ

こういったことから、これはウグイスだと思います。

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【余談】ウグイスがメジロになっているものが他にも!

花札の他にもウグイスがメジロっぽくなっているものがあったので、少し紹介したいと思います。

うぐいす餅はあんなに鮮やかな緑じゃなかった!

うぐいすと言えば、うぐいす餅。

うぐいす餅といえば鮮やかな緑色のお餅を想像しますよね?

でもこれ、作られた当初は鮮やかな緑色ではなかったんです。

うぐいす餅は豊臣秀吉が御用菓子司に作らせたのが発祥とされており、そのお餅を献上したお店が現在も当時のままのうぐいす餅(御城之口餅(おしろのくちもち))を作られています。

見ての通り、鮮やかな緑色ではなくきな粉の黄色っぽい色だったんです。

ウグイスの色に似ているわけじゃないけど、でも鮮やかなメジロの色ではなく、ウグイス寄りの地味な色だったんですね。

シロ

ちなみに現在のうぐいす餅には青大豆のきな粉が使われたり、よもぎを混ぜたりしてあの緑色のうぐいす餅が作られています。

うぐいす色はもう少し暗い色だった!

またこちらもよく聞く「うぐいす色」。

うぐいす色イメージ

イメージはきれいな緑色ですが、実は本来のうぐいす色はもう少し暗めの色なんです。

JIS慣用色のうぐいす色

色彩検定などで使われるJIS慣用色ではこんな感じの色味になります。思ったよりも暗めですよね。

シロ

うぐいす色といえばきれいな緑=メジロの色と思いがちですが、実際はちゃんとウグイスに似せた色だったんですね。

以上、余談でした♪

まとめ

  • 「梅とウグイス」の組み合わせは、遥か昔からお似合いの組み合わせとして人気だった
  • 旧暦の2月には梅もウグイスも良く見られるので、花札2月の題材になったと考えられる
  • ウグイスは実のところ梅の木によりつくことがほとんどないことから「梅にウグイス」は「メジロ」じゃないかという説があるが、あれは取り合わせの良いものとして描かれたものなので、事実とは違うがデザインとしてはおかしいことはない
  • うぐいす餅やうぐいす色など、本来ウグイスっぽいものがメジロっぽくなっているものがある
シロ

ちなみにウグイスはなかなか表に出てこない鳥なので、「ホーホケキョ」と鳴いている声が聞こえてあたりを見回してみるとメジロが目につくことから、メジロをウグイスに見間違えることも多いそうです。
また、ネット上でも「梅にウグイス」の写真が「梅にメジロ」の場合があるので注意してくださいね。

シロ

最後に、実際のウグイスの動画を紹介しておきます!
とてもいい声で「ホーホケキョ」と鳴いていて、可愛さに癒やされますよ♪