
花札の最初の月札、1月の絵柄といえば「松に鶴」。
花札の絵としては有名なので、目にすることも多いんじゃないでしょうか。
今回はこの札にかかれている「松」と「鶴」について書いていきたいと思います。
まずは、松。
花札には黒っぽいイガイガしたものが描かれていますが、これが松です。
でも考えて見ると、なぜ花札に松が描かれているのでしょう?
花札だけにもっと華やかなものでもいい気がするんだけど。なんで松なんだろう?
調べると納得な理由がわかったので、シェアしたいと思います。
さらに、一緒に描かれている「鶴」。
こちら、実は鶴じゃないという説があるって知ってました?
いやいやいや、どっからどうみても鶴だよね?!
私もそう思いました。
でも鶴じゃないという説があるんです。
その理由も解説したいと思います。
ただ・・・
私は鶴だと思います(きっぱり!)。
もちろんそう思った根拠もちゃんとあるので、あわせてご紹介しますね。
まずは、松が描かれている理由から見ていきましょう!
花札にはなぜ松が描かれているの?

花札には色とりどりの絵柄が描かれていますが、これは日本の暦にそって描かれていて、1月から12月まで各4枚ずつの構成(計48枚)になっています。
今回の題材となっている「松と鶴」。
これは花札の中で一番最初の月に当たる1月の札に描かれています。
その1月に松が描かれている理由。
それは、とってもめでたくて季節を象徴しているものだからなんです。
松はこんなにめでたい木!

松は昔から縁起がいい木だと言われています。
それは松の木が持っている特徴と関係がありました。
松は「常緑樹」といわれるように、一年中色褪せることなく寒い冬でも枯れずに葉が青々としていて、樹齢数百年というものがあるというように長く生き続ける。
その生命力の強さから、縁起のいい長寿のシンボルとされています。
お正月の門松に松が使われるのも、こういった理由からなんです。
花札が普及した江戸時代にも、お正月に門松が飾られていました。
なので、1月といえば松!しかも縁起がいい!という発想になり、花札に描かれたというわけなんです。
花札は昔の人が縁起や長寿を願うなどの思いがこもった札なんですね。
冒頭に書いた「もっと華やかなものを書けばいいじゃない!」という浅はかな考え・・・ちょっと反省です。
さてさて、松が描かれた由来や意味がわかったところで、気になるのは横の鶴。
これ鶴じゃないって説、どう思います?
どういった理由でそんな話になったんでしょう。
そのあたりを見ていきましょう!
一緒に描かれているのは鶴じゃない?!
そもそも、なぜ鶴じゃないという説が出たんでしょうか。
理由は、鶴は松の木に止まれないから。
もう少し詳しく言うと、コウノトリを鶴と見間違えたから。
だそうです。
それってどういうことなんでしょう?
コウノトリと見間違えたってどういうこと?
そもそも花札に描かれている鳥は、頭が赤いことからタンチョウ鶴だと言われています。
でも、タンチョウ鶴は木に止まることはできません。
タンチョウ鶴の足指は3本の長い指と1本の小さな指しかなく、枝をつかむことができないため木に止まることはできないんです。
一方、コウノトリは松などの高い木を好み、木に止まることができます。
そしてコウノトリとタンチョウ鶴は、遠くから見ると見分けがつかないほど似ているんです。

体が白くて羽の先が黒というのは一緒だし、タンチョウ鶴の頭の赤い部分も遠目から見るとわかりづらいので、見間違えるというのも理解はできます。
まとめると、
- 鶴は木に止まることができない
- コウノトリは木に止まることができる。むしろ松の木大好き!
- 鶴とコウノトリは遠くから見るとよく似ている
こういったことから、コウノトリと見間違えたのでは?という説が出たんです。
まあね。確かにわからなくもありません。
が、やっぱり私には納得がいきません!
「松に鶴」は鶴だと思う!
だって、もう一度花札の絵を見てください。

これ、松の木に止まってませんよね?
松と鶴が一緒に描かれている風にしか見えない。どうしても見えない!
そこでこれを覆す説はないものかと探したところ、ありました!
「これは絵のモチーフ」説(勝手に名付けた)です。
松と鶴は有名な絵のモチーフ
中国では松と鶴の組み合わせはとても縁起がいいとされ、数々の絵が描かれました。
その中で代表するものが「松鶴遐齢(しょうかくかれい)」というものです。
これは絵の名前ではなく絵の題材を表し、二羽の鶴(一羽の場合もあり)が松の木と一緒に描かれているものを指します。
松鶴遐齢の「遐齢」とは「長寿」いう意味で、松と鶴が描かれた長寿を祝う縁起のいいモチーフとされています(ちなみにもう一つ「松鶴長春」というものもあります)。
このような縁起のいいものを使って書かれた絵画は日本でも広まり、松と鶴を使用した作品も次々と生まれました。
その結果、1月の花札の絵にも縁起のいい題材として採用されたと考えられます。
デザインなら鶴でいいのでは?
つまり、松に鶴の絵は実際の様子を描いたものではなく、縁起のいいモチーフとして採用された、言うなれば「デザイン」ということなんですね。
私としてはこっちの説のほうがしっくりきます。
これなら松の木に止まれなくてもデザインなので、松と鶴の組み合わせは「アリ」なんじゃないでしょうか。
「縁起がいいから一緒に描いてみた」という理由のほうが自然な気がするので、私はこちらの説を推します!
まとめ
- 松は「常緑樹」といわれる生命力の強い長寿のシンボル。だからめでたい象徴として花札に描かれた
- 一緒に描かれている鳥は鶴ではなくコウノトリという説がある。鶴は松の木に止まれないし、コウノトリは松の木に止まれて遠目で見ると鶴とよく似ているから
- 中国では松と鶴は一緒に描かれる吉祥のモチーフ。絵の題材によく使われたこの組み合わせは花札に描かれてもおかしくないので、やはり1月の花札は「松と鶴」だと思う
なんとなく花札を見て「松と鶴の絵だな~」ぐらいにしか思ってなかったものが、まさかこんな展開になるとは思いませんでした。
いや~、花札の絵って意外と奥が深いですね。
でも黒くてイガイガしているのは未だに松に見えません。ソテツに見えるのは私だけ???