花札には四季折々の花が描かれていますが、9月の札は「菊に盃(きくにさかずき)」と呼ばれるように、菊が描かれています。
でも菊って9月のイメージがないし(10月~11月にかけての秋の花のイメージ)、もっと他にも花があるのにどうして菊が描かれているんでしょう?
調べてみると、ある縁起のいいことから菊が描かれていて、しかも花札をやるときにはぜひ覚えておきたい最強札ということがわかりました!
私はこの札はちょっと地味だしあまり好きじゃなかったけど、調べてみたらすごくいい札でめちゃくちゃ好感度UPしました(笑)
ではまず、9月の札になぜ菊が描かれているのかから順番に見ていきましょう!
9月の花札になぜ菊が描かれているの?
そもそも花札の絵柄は、縁起がいいものや日本の花鳥風月を題材に描かれています。
今回のこの「菊に盃」の絵柄は縁起のいい日本の風習と関係があります。
その昔、旧暦の9月は菊の節句をお祝いしたため、それをモチーフに9月には菊の花が描かれました。
菊の節句って何?
さてさて、菊の節句とはなんぞや?ですよね。
菊の節句は別名「重陽の節句」といいます。
節句といえば、有名なものは
- 3月3日の「桃の節句」(ひなまつり)
- 5月5日の「端午の節句」(こどもの日)
がありますが、実は9月9日の「重陽の節句(菊の節句)」もこれと同じ日本の五節句の中の一つなんです。
ちなみに、1月7日の「七草の節句」、7月7日の「七夕の節句」(しちせきのせっく)も含めて五節句といいます。
重陽の節句とは?なぜ菊の節句と呼ばれたの?
あまり聞いたことがない9月9日の「重陽の節句」。
いったいこの節句はどんな節句なんでしょうか?
この節句はもともと中国から伝わりました。
中国では奇数は縁起のいい陽数で、この陽数の一番大きい数字が重なる9月9日を重陽と呼び、この日を重陽の節句と定め盛大にお祝いされていたのが、後に日本に伝わりました。
日本では、特に花札が作られた江戸時代にもっとも盛んにお祝いされていたと言われています。
また、重陽の節句にあたる旧暦のこの時期(今の10月中旬頃)は菊がきれいに咲く時期で、菊には邪気を払い長寿の効能があると信じられてきたことから、お祝いに菊の花が使われるようになります。
ここから別名「菊の節句」と呼ばれるようになったというわけなんです。
つまり、花札が作られた江戸時代に菊の節句が盛んにお祝いされたので、9月の札はその節句の象徴である菊の花が描かれたというわけなんですね。
菊の花といえば、天皇家の紋章にも「菊」の花が使われています。
これは後鳥羽上皇が縁起が良くて大輪の花を咲かせる菊に魅了され、印に使ったことが始まりとされています。
菊の花は昔から高貴で愛される花だったんですね。
花札に描かれている盃は「菊酒」のこと
もう一つ節句に関するお話を。
9月の花札をよく見ると、菊と盃がセットで描かれていますよね?
これは「菊酒」を表現したものと言われています。
中国では菊は邪気を払い長寿の効能があると信じられ、重陽の節句ではその菊を浮かべたお酒を飲む風習がありました。
なので、花札に菊と盃が描かれているのはその「菊酒」を表現していると言われ、また盃に「寿」と描かれているのも節句をお祝いを表したものと考えられています。
この絵を見て「なぜ盃?」と思ったけど、お祝い感をふんだんに表現した絵だったんですね。
菊の札はただ単に縁起のいい札ではなかった!
いかがだったでしょうか?
菊が描かれた意味を知ると、ただ単に菊が描かれた札から、ちょっとめでたい良い札に見えてきませんか?
私もあれだけ「地味だ」と言っていた9月の札、なんか見る目が変わりました(笑)
むしろ地味に見えた絵も、厳かなお祝いの雰囲気でステキかも!(単純だ)
さて、この長寿や邪気を払う菊がふんだんに描かれた札、ただ単に縁起がいい札というわけではありません。
実際のゲームにおいても最強の札なんです!
ゲームをやっている人ほど、この札は真っ先に欲しいと言うぐらい魅力的な札。
その最強さを見ていきましょう!
こいこい、花合わせでは菊は真っ先に覚えたい最強札!
この菊の札は、花札の中でも有名な「こいこい」と「花合わせ」というゲームでは、一番最初に覚えておきたい札です。
そう言われる理由は、菊の札には3つのメリットがあり、他の札よりは使いみちがいいからなんです。
菊の札のメリットを順番に見ていくと、
①一枚持っているだけで2つの役が狙える
ここ!一番覚えておきたいポイントです。
「菊に盃」の札(上の写真でいうと一番左)は、これを一枚持っているだけで
月見で一杯
花見で一杯
という2つの役を同時に狙うことができます。
ここが最強と言われるポイントです。
こいこいや花合わせの勝敗は役の合計で決まります。
この2つの役は点数がすごく高いわけではありませんが、全体の点数の底上げをするには重要な役です。
この役があるのとないのとでは結果が全然違ってくるので、その役をこの1枚で2つ狙えるのはかなり美味しいと言えます。
逆にいうと、この2つの役を成立させるには「菊に盃」の札がないと無理なので、手札にあればラッキー、なければ率先して取りに行くようにしましょう!
②青い短冊でも役が作れる
菊に短冊が書いてある札、こちらも「青短」という役を狙うことができます。
青短
こちらは青い短冊が描かれた札を3枚集めないといけないので、一から集めるとなると結構大変ですが、もともと手札にある場合は役を成立させるチャンス!率先して集めるようにしましょう。
③それ以外にもまだ役が狙える
その他の菊しか描かれていない札は使いみちがなさそうに見えますが、これはこれで役の点数に加算されます。
カス
この札はカス札と呼ばれ、その他のカス札と同じように1枚に付き1点加算されます。
なので集めれば集めるほど点数が増えるので、この札も使いみちがあるということを覚えておきましょう。
ただし、地方のルールではカスを点数に入れなかったり、枚数によって点数が変わったりすることもあるので、ゲームをする時にしっかりルールの確認をしておきましょう。
菊の札は他の札に比べて役が狙えるポイントが多め。そういったところが最強札だと思います。実際ゲームをやってみると本当に万能なので、ぜひ覚えてくださいね!
まとめ
- 花札9月に菊の花が描かれているのは、重陽の節句(菊の節句)をモチーフにしているから
- 菊は邪気を払い長寿の効能もあるといわれる縁起のいい花で、その花を浮かべた菊酒も花札に盃として描かれている
- 9月の札はただ単に縁起のいい札ではなくて、「こいこい」や「花合わせ」ではいろんな役を狙える最強札!真っ先に覚えるべし
菊の花って正直あまりいいイメージがなくて、お葬式とかお墓にそなえるとかそういったイメージしかなかったけど、ガラリと印象が変わりました。
ちなみに、菊の花言葉は「高貴」なんですって。ぴったり!